PDF for .NET は、セキュリティ、圧縮、アウトライン、ハイパーリンク、および添付ファイルを含む、PDF 仕様に含まれる高度な機能の大部分をサポートします。
しかし、PDF for .NET の大きな特長は使い方が簡単である点です。コンテンツをドキュメントに追加するために備わっている各コマンドは .NET の Graphics クラスで使用可能なコマンドと似ています。.NET のテキストとグラフィックスを表示する方法を理解していれば、PDF for .NET を使用する方法も既に理解されています。
便利さを実感できる PDF for .NET の特長として、次の事項が挙げられます。
- メタファイル画像の高速描画と圧縮
メタファイルはビットマップに変換されません。これらは、解析されてベクターグラフィックコマンドに変換され、可能な範囲で最良の解像度を保持します。グラフや図面を PDF ドキュメントに追加する場合は、メタファイルの方がビットマップ画像よりも適しています。
- AcroForms サポート
新しい AddField メソッドを使用して、PDF ドキュメントに Acrobat フォームフィールドを追加します。PDF for .NET は、次のフィールドタイプをサポートします。テキストボックス、チェックボックス、ラジオボタン、プッシュボタン、コンボボックス、およびリストボックス。
- HTML のサポート
新しい DrawStringHtml メソッドを使用して、PDF ドキュメントに HTMLをレンダリングします。HTML コンテンツを複数のページまたは列に流し込み、既存のスタイルシートを使用して、HTML を他のタイプのコンテンツ(画像、RTF、プレーンテキスト、フォームフィールドなど)と組み合わせることができます。
- DrawImage メソッドを使用したなじみある構文
PDF ドキュメントへの画像の追加は簡単です。すべて DrawImage メソッドを使用して行われます。DrawImage は、指定された画像を指定された位置に描画し、画像の配置とスケール調整を制御するパラメータを備えています。メタファイルを含む、任意の標準 .NET Image オブジェクトを表示できます。
- ドキュメントの制限の管理
ユーザーによるコンテンツのコピーおよび編集を許可したり、ユーザーによるドキュメントの印刷を制限したり、ユーザーに対して注釈の編集権限を設定したりできます。
- PDF ファイルへの添付ファイルの追加
添付データには、メインドキュメントが雑多に含まれている詳細情報を含むスプレッドシード、ムービーやサウンドを含むマルチメディアファイル、サンプルコードなど、どんな種類のファイルも含めることができます。PDF ファイルへの添付データの追加は簡単です。添付するファイル、添付データを取り込むページの領域、およびオプションで添付データの外観を指定するだけです。
- オーナーとユーザーのパスワード保護
PDF ファイルに機密情報を含める場合は、権限のあるユーザーだけがアクセスできるように、これらの情報を暗号化できます。ドキュメントのオーナーとその他すべてのユーザーには別個のパスワードが設定されます。ユーザーのアクセスは、ドキュメントの表示、印刷、または編集など、特定の操作のみを許可するように選択して制限できます。
- グラフィカル要素の追加
線、矩形、省略記号、円、弧、角が丸い矩形、多角形、ベジエ曲線などを追加します。
- アウトライン構造の作成
ほとんどの長文の PDF ドキュメントは、リーダの左側のペインに表示されるアウトライン構造を備えています。アウトラインを使用して、ドキュメントの構造を簡単にブラウズし、特定のトピックを見つけることができます。PDF for .NET では、アウトラインのエントリ(ブックマーク)を追加してこのアウトライン構造をビルドできます。
- ハイパーリンクとローカルリンクの追加
PDF には、ハイパーリンクとハイパーリンクターゲットを PDF ドキュメントに追加するメソッドが用意されています。クリックすると、同じ PDF ドキュメント内の他の場所に移動できるローカルリンクを追加することもできます。このタイプのリンクは、目次や索引など、ドキュメント内に一種のクロス参照を実装する場合に便利です。
- ドキュメント情報およびビューア環境設定の制御
PDF では、作成する PDF ドキュメントにメタデータを追加できます。作成者、作成日、キーワードなどを指定します。Adobe Reader でドキュメントを開いたときに適用されるデフォルトのビューア環境設定も提供できます。初期ページレイアウト、ウィンドウの位置およびリーダのツールバーとメニューの表示/非表示を指定します。
- PDF/A のサポート
PDF/A は、通常、請求書、パンフレット、マニュアル、研究報告書などを作成するユーザーが、レポートを PDF/A 形式で保存するために使用します。また、JPEG2000 画像のエクスポート、電子署名の提供、および埋め込みフォントのサポートを可能にします。