設計時にスタイルのプロパティを設定する際は、グリッドのプロパティによって公開される名前付きスタイルと無名スタイルの違いを理解することが大切です。
名前付きスタイルは、グリッド、スプリット、および列の外見を管理するテンプレートを提供します。設計時に GridStyleCollection エディタを使用して、名前付きスタイルを作成、変更、および削除できます。実行時には、GridStyleCollection を使用して、同じ名前付きStyle オブジェクトのセットを表すことができます。
しかし、無名スタイルは、GridStyleCollection のメンバではありません。無名スタイルは、名前付きスタイルを特別に定義しなくても、個別のスプリットまたは列の外見を簡単に直接定義できるように提供されています。
名前付きスタイルと無名スタイルの違いを明らかにするために、Microsoft Word を例に考えてみます。デフォルトの標準スタイルに基づく複数の段落で構成されている Microsoft Word ドキュメントがあるとします。段落の1つは引用文で、インデントして斜体で表示する必要があります。このドキュメントがさらに大きな文書の一部で、引用文も複数含まれている場合は、引用文用のスタイルを特別に定義し、引用文を含むすべての段落にそのスタイルを適用することには意味があります。しかし、このドキュメントが草稿であったり、更新する予定がない場合は、1つの段落のためにスタイルを定義するのは無駄です。引用文自体にインデントと斜体を適用する方が便利です。
このように段落の属性を直接指定することは、無名スタイルを返すプロパティのメンバを設定することに似ています。たとえば、特定のグリッド列内でセルのデータを垂直方向に中央揃えにする場合、C1DisplayColumnCollection エディタで列の Style プロパティのVerticalAlignment メンバを変更します。
無名スタイルの変更方法は、名前付きスタイルの変更方法とまったく同じです。まず、プロパティツリーで目的の Style オブジェクトのノードを展開し、次にそのオブジェクトのプロパティを1つ以上選択して編集します。