DioDocs for Excelでは、IRangeインタフェースのValueプロパティを使用して、カスタムオブジェクトまたはその1Dおよび2D配列を範囲に設定できます。ただし、カスタムオブジェクトはExcel入出力ではサポートされていません。

各操作の場合カスタムオブジェクトの動作

• Jsonシリアル化・逆シリアル化： Jsonシリアル化・逆シリアル化の際、カスタムオブジェクトが廃棄されます（組み込みのSpreadJS相互運用タイプを除く)。ただし、本動作をWorkbook.ValueJsonSerializerプロパティを設定することでオーバーライドすることができます。
• PDF、HTML、画像の形式へエクスポート：カスタムオブジェクトを持つワークシートをPDF、HTML、や画像形式にエクスポートする際、Convert.ToStringを使用してからカスタムオブジェクトを文字列としてエクスポートできます。セルが狭すぎてコンテンツが収まらない場合は、#####がエクスポートされます。
• 切り取り・コピー操作： 切り取りやコピーの操作を行う際、カスタムオブジェクトをコピーしたり、他の範囲、ワークシートやワークブックに移動したりすることができます。カスタムオブジェクトは常に参照によってコピーされます。それらのいくつかは構造でもあります。
• Range.Text: カスタムオブジェクトでRange.Textを使用する場合、Convert.ToStringメソッドを使用する必要があります。
• 組み込み数式： 組み込み数式を使用している間、範囲参照は、{= A1：D3}などの配列数式を含むカスタムオブジェクトとして扱われます。カスタムオブジェクトで組み込み数式を使用すると、次の動作を観察できます。
  • パターンマッチング（ルックアップ）式でのカスタムオブジェクトの範囲参照はスキップされます。
  • カスタムデータ型が意味をなさない場合、集計式（主にSUM *、統計式、データベース式）内のカスタムオブジェクトの範囲参照はスキップされます
  • カスタムデータ型が受け入れられる場合は、集計式のカスタムオブジェクトが受け入れられます。例えば、カスタムオブジェクトはCOUNTA関数でカウントされます。
  • 次の数式が指定値を返します。
    • ISERROR: 常にFALSEを返します。
    • TYPE: #VALUE!を返します。
    • ERROR.TYPE: #N/Aを返します。
  • それ以外の場合は、カスタムオブジェクトは#VALUEとして扱われます。

  カスタムオブジェクトで以下の演算子と数式を使用する場合は、前述のメソッドを使用する必要があります。

  演算子	=	Object.Equalsを使用します。
  	<>	Not =を使用します。
  数式	EXACT	Object.ReferenceEqualsを使用します。
  	TEXT	Convert.ToStringを使用します。

  次のバーコード式は、カスタムオブジェクトを処理できます。

  • BC_CODABAR
  • BC_CODE128
  • BC_CODE39
  • BC_CODE49
  • BC_CODE93
  • BC_DATAMATRIX
  • BC_EAN13
  • BC_EAN8
  • BC_GS1_128
  • BC_PDF417
  • BC_QRCODE

次のサンプルコードは、カスタムオブジェクトの2D配列を範囲に設定する方法を示します。

//新しいワークブックを作成します
var workbook = new GrapeCity.Documents.Excel.Workbook();

var activeSheet = workbook.ActiveSheet;
IRange a1 = activeSheet.Range["A1"];
var dict = new Dictionary<string, object>()
{
    {"TempData1", 1},
    {"TempData2", "Temp value 2"},
    {"TempData3", 3},
    {"TempData4", "Temp value 4"}
};
//一時データを範囲に設定します
a1.Value = dict;

//後でカスタムオブジェクトを表示します
var obj = (IReadOnlyDictionary<string, object>)a1.Value;
var row = 1;
foreach (var kv in obj)
{
    activeSheet.Range["B" + row].Value = kv.Key;
    activeSheet.Range["C" + row].Value = kv.Value;
    row += 1;
}

//調整
activeSheet.Columns.AutoFit();
activeSheet.Columns[0].Hidden = true;

//PDFファイルに保存します
workbook.Save("setcustomrangevalue.pdf");

次のサンプルコードは、JSONシリアル化の動作をオーバーライドする方法を示します。

 //JSONコンバータークラス 
class JsonNetConverter<T> : IJsonSerializer
{
    public static JsonNetConverter<T> Instance { get; } = new JsonNetConverter<T>();

    public object Deserialize(string json)
    {
        var jobj = JObject.Parse(json);
        if (jobj.TryGetValue("typeName", out JToken jtok) &&
            jtok is JValue jval &&
            jval.Type == JTokenType.String &&
            (string)jval.Value == typeof(T).Name)
        {
            return JsonConvert.DeserializeObject<T>(json);
        } 
        return null;
    }

    public string Serialize(object value)
    {
        var jObj = JObject.FromObject(value);
        jObj.Add("typeName", new JValue(typeof(T).Name));
        return jObj.ToString(Newtonsoft.Json.Formatting.None);
    }
} //クラスを終了します

public void overrideJSON()
{
    //使用法
    Workbook.ValueJsonSerializer = JsonNetConverter<ValueWithUnit>.Instance;
}