ここでは、ClickOnceを使用したアプリケーションの配布について、発行、配置、実行、更新、削除の一連のプロセスを説明します。ClickOnceについての詳細は、Visual StudioのドキュメントまたはMSDN、市販の雑誌・解説書を参照してください。
ClickOnceにおける2つの配布シナリオ
JPAddressで作成したアプリケーションをClickOnceで配布する場合、ClickOnceのセットアップに辞書ファイル含めアプリケーションと一緒に配布する方法と、辞書ファイルはセットアップには含めない方法の2つのシナリオが考えられます。
次項では、辞書ファイルをアプリケーションと一緒に配布する場合の手順について説明します。
- 辞書ファイルをアプリケーションと一緒に配布する場合
アプリケーションと同じフォルダに辞書ファイルを配置する場合は、辞書ファイルをClickOnceのセットアップに含めます。セットアップに辞書ファイルを含める利点は、ClickOnceのセットアップのみでアプリケーションの配布が完了することです。
ただし、ClickOnceアプリケーションは、コンピューターの ClickOnceアプリケーション キャッシュに格納され、これは現在のユーザーの [Documents and Settings] フォルダーの[Local Settings] 下にあります。そのため複数のアプリケーションや複数のユーザーで辞書ファイルを共有することはできません。 - 辞書ファイルをアプリケーションと一緒に配布しない場合
配布環境で複数のアプリケーションや複数のユーザーで辞書ファイルを共有する場合は、ClickOnceのセットアップには含めずにClickOnceのセットアップを作成します。この場合、アプリケーション構成ファイル(App.config)で辞書ファイルのパスを指定する必要がありますが、複数のアプリケーションまたは複数のユーザーで辞書ファイルを共有できます。
辞書ファイルはClickOnceとは別の方法でコピーする必要がありますが、辞書更新サービスで提供する自動更新機能を使用すれば、辞書ファイルの更新を自動化することが可能です。
次項では、辞書ファイルをアプリケーションと一緒に配布する場合の手順について説明します。
アプリケーションの発行
ClickOnceでWindowsアプリケーションをIIS(インターネット インフォメーション サービス)に設置するには、次の手順を実行します。
IISが動作している場合、Visual Studioによって指定した場所へアプリケーションが発行されます(ここではhttp://localhost/ClickOnce/)。
IISのフォルダとプロジェクトの出力フォルダには次のようなファイルがコピーされます。
- Visual Studioを起動し、ClickOnceで配布するプロジェクトを開きます。
- 辞書ファイルをアプリケーションと一緒に配布するには、辞書ファイル(*.dat)をVisual Studioのプロジェクトに追加します。[プロジェクト]メニューから[既存項目の追加(G)]を選択し次の4つのファイルをプロジェクトに追加します。
- KEN_ALL.dat
- JIGYOUSHO.dat
- shigai_list.dat
- JPAddressDBTimeStamp.dat
- ソリューションエクスプローラから2.で追加した辞書ファイルをクリックしプロパティを表示し、ビルドアクションを「コンテンツ」に設定します。
辞書ファイルをClickOnceのセットアップに含めない場合は、2、3の手順は不要です。
- [プロジェクト]メニューから[%プロジェクト名%のプロパティ(P)]を選択します。
- [発行]タブをクリックします。
- [アプリケーション ファイル(I)]ボタンをクリックし、JPAddressのランタイム ファイルの設定を表示します。
「すべてのファイルを表示」チェックをONに変更し、
すべてのJPAddressのランタイムの「発行の状況」を「含む」に変更します。
- 辞書ファイルをClickOnceのセットアップに含めない場合は、辞書ファイルに対する「発行の状況」の設定は不要です。
- アプリケーションのインストールとは別に辞書ファイルを運用環境に配布ピーする場合は辞書ファイルに関する設定は不要です。
- 辞書ファイルを「データファイル」のままで発行した場合、インストール先のClickOnceキャッシュ領域におけるファイルのディレクトリ構成が異なるため、アプリケーションが辞書ファイルを見つけることができなくなります。
- [オプション(S)]をクリックして[配置Webページ(W)]に発行するWebページのファイル名を入力し、[発行後に毎回配置Webページを自動的に生成する(G)]チェックボックスをONにします。
- [今すぐ発行(N)]をクリックします。
IISが動作している場合、Visual Studioによって指定した場所へアプリケーションが発行されます(ここではhttp://localhost/ClickOnce/)。
IISのフォルダとプロジェクトの出力フォルダには次のようなファイルがコピーされます。
アプリケーションの配置
アプケーションを発行したURL(http://localhost/ClickOnce/publish.htm等)をInternet Explorerで開くと、次のような画面が表示されます。この画面の表示内容は、プロジェクトのプロパティで変更できます。
[インストール]ボタンをクリックすると、アプリケーションの発行元を確認するダイアログが表示されます。
[インストール]ボタンをクリックすると、アプリケーションがクライアントPCにインストールされます。インストールが完了すると、アプリケーションが起動します。
[インストール]ボタンをクリックすると、アプリケーションの発行元を確認するダイアログが表示されます。
[インストール]ボタンをクリックすると、アプリケーションがクライアントPCにインストールされます。インストールが完了すると、アプリケーションが起動します。
アプリケーションの実行
配置したアプリケーションはWindowsのスタート メニューから実行できます。ClickOnceでスタート メニューに登録するかどうかは、プロジェクトのプロパティで設定します。
アプリケーションの更新
配置したアプリケーションを更新するには、アプリケーションを発行したURLにアクセスし、[インストール]ボタンをクリックします。Webサーバーに新しいバージョンが設置されている場合、自動的に新しいバージョンがインストールされます。
アプリケーションを更新した後に以前のバージョンに戻すには、「コントロール パネル」の「プログラムの追加と削除」を開き、配置したアプリケーションを選択して[変更と削除]ボタンをクリックします。
「アプリケーションを以前の状態に復元します。」を選択し、[OK]ボタンをクリックするとアプリケーションを以前のバージョンに復元できます。アプリケーションが更新されたバージョンでないとき、「アプリケーションを以前の状態に復元します。」は選択できません。
アプリケーションを更新した後に以前のバージョンに戻すには、「コントロール パネル」の「プログラムの追加と削除」を開き、配置したアプリケーションを選択して[変更と削除]ボタンをクリックします。
「アプリケーションを以前の状態に復元します。」を選択し、[OK]ボタンをクリックするとアプリケーションを以前のバージョンに復元できます。アプリケーションが更新されたバージョンでないとき、「アプリケーションを以前の状態に復元します。」は選択できません。
アプリケーションの削除
配置したアプリケーションを更新するには、「コントロール パネル」の「プログラムの追加と削除」を開き、配置したアプリケーションを選択して[変更と削除]ボタンをクリックします。「このコンピュータからアプリケーションを削除します。」を選択し、[OK]ボタンをクリックするとクライアントPCからアプリケーションを削除できます。
トラブルシューティング
ClickOnceはInternet ExplorerとIISの機能や設定に依存しています。他のWebブラウザやWebサーバーを使用する前に、これらの標準的な組み合わせで検証することで原因を絞り込むことができます。