アプリケーションを多数の環境へ配布する場合は、インストーラを使用する方法が便利です。インストーラには様々な形式がありますが、ここでは、最も一般的なWindowsインストーラ（.msi）について説明します。

Windowsインストーラの特徴

Windowsインストーラには、以下のような特徴があります。

アプリケーションをアンインストールするときに、他のアプリケーションに悪影響を与えないようにできる。
誤って削除したファイルを自動的に再インストールする自動修復機能をサポートしている。
インストールを中止したときに、元の状態へ戻すロールバック機能がある。
グローバルアセンブリキャッシュに対して、アセンブリを登録、修復、または削除できる。
特定のアプリケーション専用のプライベートな場所へアセンブリをインストールできる。

Windowsインストーラを作成するいくつかの方法について、以下に概略を説明します。詳細については、各項目の「参考情報」をご覧ください。

1. セットアップウィザードを使用する方法

Visual Studioのセットアップウィザードを使用すると、ウィザードの手順に従ってインストーラを作成できます。ウィザードの完了後は、後述の「セットアッププロジェクト」が作成されますので、そこでさらに細かな設定をすることも可能です。この方法は以下のような場合に適しています。

インストール時に特殊な処理（環境条件のチェックやレジストリへの登録など）を必要としない。
アプリケーションの構成やアセンブリとの依存関係がシンプルである。

起動方法
Visual Studioの [新しいプロジェクト] ダイアログボックスで、[その他のプロジェクトの種類]－[セットアップと配置]－[Visual Studio インストーラ]－[セットアップウィザード]を選択します。

参考情報
MSDNライブラリの「セットアップウィザード」

2. セットアッププロジェクトを使用する方法

前述の「セットアップウィザード」を使用せずに、最初からセットアッププロジェクトの形式でインストーラのプロジェクトを作成することもできます。この方法は以下のような場合に適しています。

開発者がインストーラ作成に関する十分な知識と経験がある。
セットアップウィザードが生成する基本構造のほかに、多くの項目を設定する必要がある。

起動方法
Visual Studioの [新しいプロジェクト] ダイアログボックスで、[その他のプロジェクトの種類]－[セットアップと配置]－[Visual Studio インストーラ]－[セットアッププロジェクト]を選択します。

参考情報
MSDNライブラリの「セットアッププロジェクト」「チュートリアル：Windowsアプリケーションの配置」

3. その他のインストーラ作成ツールを使用する方法

Visual Studioに付属するインストーラ作成ツールのほかに、いくつかのサードパーティからWindowsインストーラに対応したインストーラ作成ツールが提供されています。通常、これらのツールは、Visual StudioのセットアップウィザードやセットアッププロジェクトがサポートしていないWindowsインストーラの機能にも対応しています。この方法は以下のような場合に適しています。

Visual Studioの標準ダイアログではなく、独自の外観を持ったダイアログが必要である。
複雑な処理をするインストーラを短時間に開発することが求められている。
Windowsインストーラの機能を最大限に活用する必要がある。

参考情報
インストーラ作成ツールのドキュメント